日本政策金融公庫で融資を受けるときの注意点

日本政策金融公庫で融資を受けるときの注意点

初めて事業を始める方を経済的にバックアップしてくれるのが、日本政策金融公庫のさまざまな融資制度です。この融資制度を利用するにあたっては、事前準備が必要になります。ここでは、融資の際に必要になる書類の準備や、面談での注意点などについて解説していきます。

 

◆日本政策金融公庫を活用するメリット

 

日本政策金融公庫は、日本政府が100パーセントを出資する金融機関です。こういった組織は、一般的には政府系金融機関と呼ばれています。中小企業や小規模事業者の支援を1つのテーマにしており、地域の活性化に取り組む企業や事業者を経済的な面からバックアップしているのが日本政策金融公庫の特徴です。個人事業主や中小企業への貸付が多く、飲食店経営を始める方への融資も積極的に行っています。日本政策金融公庫を活用すると、実のところいろいろなメリットが得られます。例えば、ほかの金融機関から融資を受けられないときでも、審査に応じてもらえるケースがある点は、大きなメリットになるのではないでしょうか。創業したばかりの事業者は、概して金融機関からお金を借りるのが難しくなりますが、日本政策金融公庫を活用すれば融資を受けられる可能性があります。また、ほかの金融機関よりも、低金利で融資を受けられる点もメリットの1つです。金利が安い融資は最終的に返済するお金の額が減りますので、コストを抑えることにもつながります。日本政策金融公庫から融資を受けることによって借り入れの実績ができた場合、以後はほかの金融機関からの融資が受けやすくなる点も見逃せません。

 

◆融資を申し込むときに気をつけるべき点

 

日本政策金融公庫の融資を利用する際には、気を付けておきたいことがいくつかあります。例えば、自分自身の信用情報です。融資の審査では、個人の信用情報がチェックされます。直近の5年から7年の間に、万が一クレジットカードの返済の遅延や返済の踏み倒しがあると、いわば信用情報に傷がついた形になり、審査に響く可能性があります。融資を受けられたとしても、希望していた金額よりも減額されてしまうケースがあるため、返済の遅延などは極力避けましょう。また、税金の滞納や未納も要注意です。所得税や住民税、法人税などの未納や滞納があると、審査に悪影響が出ることが考えられます。税金は、支払った日付も審査のポイントですので、期日までに納付が済んでいないとやはり評価が下がってしまいます。また、自己資金がゼロといった場合も、融資を受けるのは少し難しくなるでしょう。自己資金があっても、出どころが不明瞭なときには、審査に引っかかることがあります。例えば、他人から一括でお金が振り込まれているなど、いきなり通帳の残高が増えている場合は、「見せ金」と判断されてしまう可能性もでてきます。こういったときには融資が受けられない場合が多く、注意が必要です。信用を得て日本政策金融公庫から融資を受けるためには、毎月コツコツと貯金をしていくことが大切になるでしょう。消費者金融やクレジットローンの利用残高がある方は、申し込みの前に借金をきちんと整理しておきたいところ。この手のローンを利用している方は、概して融資を受けるのが難しくなります。融資を申し込むときには、借金の整理も重要な要素になるでしょう。

 

◆融資を受けるときの基本的な流れについて押さえる

 

日本政策金融公庫で融資を受けたいときには、まず「事業資金相談ダイヤル」から融資の問い合わせをするのが最初のステップです。「事業資金相談ダイヤル」は、平日の9時から17時まで利用が可能です。公式サイトなどに電話番号が掲載されており、気軽に融資についての相談ができます。話を聞いて融資を受けられそうな場合は、最寄りの日本政策金融公庫の支店で手続きを行います。必要な書類をそろえて支店の窓口に出向くのが、次のステップです。ちなみに、融資の申し込みに必要なのは、事業計画書や通帳のコピー、設備投資に関する見積書などです。そのほかにも、法人の登記簿謄本や直近2年分の確定申告書などを用意しておきます。物件を借りて事業を始めるときには、不動産の賃貸借契約書も必要書類の1つ。また、本人確認書類も持参することが必要です。書類を提出すると、次は30分から90分程度の面談が行われます。面談では書類の内容を見てヒアリングが行われますが、必要に応じて審査の担当者による現地調査も実施されます。開業予定地や事務所の調査を行い、融資が可能かどうかを審査するのが、こういった現地調査です。無事融資が決定した場合は、公庫側から資料が送られてきます。3営業日程度で入金されることが多く、審査に通れば資金を得るまでの流れはスピーディーです。万が一審査に通らなかった場合には、審査に落ちたという履歴がしばらくの間は残ってしまうため、すぐに申し込みをやり直すのは避けた方が無難です。再度融資を申し込むのは、半年程度期間を空けてからのほうがよいでしょう。

 

◆別紙資料を作成してアピールする姿勢も大切

 

スムーズに融資を受けたい場合は、別紙の資料を用意して事業についてアピールするのも1つの方法です。このような資料はとくに提出する義務はありませんが、資料の内容次第では担当者から大きな信頼を獲得することが可能です。とくに指示がなくても、自分でオリジナルの資料を作成し、積極的にアピールする姿勢も融資を受けるうえでは大切になるでしょう。例えば、これまで同じ業種で技術を磨いてきた方であれば、事業に関連する経歴をまとめて、業務を経験した年数や培ったスキルをアピールするという方法があります。レストランなどの飲食店を開業する場合は、調理師免許やワインのソムリエの資格など、事業と関連する資格を書いておくと効果的なアピールができます。また、事業をスタートするにあたっての熱意をアピールすることも大切。事業を興すに至った動機や経緯をまとめれば、審査の担当者を納得させられる可能性があります。具体的な事業の方向も、ぜひアピールしておきたいところです。どういったターゲットを念頭に置いているのかをマーケティングの視点から説明し、ターゲットに合わせたメニューのプランや競合店の調査書などを合わせて提出すると、経営の方向が具体的に把握できているとして、評価されるケースがあるかもしれません。信頼できる税理士事務所などに相談をして、売上高や売上原価、経費の内訳を記載した損益計算書を作成して添付をすれば、さらにアピール力が高くなるでしょう。

 

◆面談に挑むときの注意点とポイント

 

この日本政策金融公庫の融資を受ける際には、面談が必須です。面談は審査の1つのプロセスですので、何も準備をしないでその場に臨むのは避けたいところです。どのような質問にも答えられるように、面談の前には綿密な準備をしておきましょう。面談の当日には、必要書類をすべてそろえておくのがベスト。不足している書類があるときには後日に提出することも可能ですが、こういった方法をとると審査の期間が長引いてしまいます。スムーズに融資までこぎ着けるためにも、あらかじめ必要書類はすべて用意しておくほうがよいでしょう。面談の担当者は、ときに厳しい意見を言うこともあります。提出された書類を見て、何らかの問題があるときには、率直な意見を述べるのがこういった担当者の姿勢です。ただ、面談をする日本政策金融公庫の担当者は、基本的には相談に訪れた方の味方です。立ち入った質問をされたとしても、必要な書類を作成するためのヒアリングであるため、誠実に答えることが大切と言えます。書類は上層部の決裁を得る必要がありますので、担当者としても面談の際に細かい点まで確認しておきたいわけです。また、売上の予測などを面談で述べるときには、必ずと言ってよいほど根拠を求められます。根拠について曖昧な回答をしてしまうと、計画通りの売上が見込めないと判断されてしまうケースもあるため要注意です。したがって、あらかじめきちんと説明できる根拠を準備しておきましょう。

 

◆ポイントを押さえて融資を申し込めば不安になる必要はない

 

日本政策金融公庫の融資制度を利用する場合、まずは書類をそろえて面談に臨む必要があります。資料に書かれている内容についてきちんと説明できるかどうかが、融資を成功させるためのポイントになるでしょう。資料の内容に関してしかるべき根拠を示せれば、必要以上に面談に不安を感じることはありません。万全の準備を済ませ、面談の当日はリラックスをして窓口に出向きましょう。

 

 

【参考URL】

【1段落】から【6段落】

https://www.jfc.go.jp/

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