起業する際に活用できる新創業融資制度
事業を始めるために、資金調達は非常に重要な要素です。しかし、新規開業を考えている段階では当然信用がないことから、銀行からの融資も期待はできません。
このような場合に、「新創業融資制度」を活用して融資を受ける方法があるのです。では、日本政策金融公庫が行なっている「新創業融資制度」のメリットと注意点を解説していきます。
◆無担保無保証で最大3000万円まで融資が受けられる
新創業融資制度とは、新規開業する方や、事業を始めて間もない方に無担保・無保証で最大3000万円(うち運転資金1500万円)の融資が受けられる制度です。
新創業融資制度を行う日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している政策金融機関です。新たな産業を生み出し、成長させることを政策として行なっているため、実績や信用が乏しく、銀行などからの資金調達が難しい事業者への新規開業を積極的に支援してくれるのです。
資金市場の需給関係や政策によっても変動しますが、低金利であることが大きな特徴の一つです。また、若者やシニア、女性などの属性によって金利が優遇される場合もあります。
そして、肝心の新創業融資制度では、無担保・無保証・低金利の資金の貸付を行なっています。一般的な事業融資では、経営者自身が連帯保証人としてサインをする必要がありますが、新創業融資制度であれば担保を設定する必要もなく、保証人もいりません。
つまり、経営者自身が連帯保証人としてサインをする必要がないため、仮に破産し、廃業したとしても、経営者個人が返済責任を負うことはない新創業融資制度は非常に有利な制度だといえるのです。
◆飲食店に有利!1カ月程度で融資実行が可能
新創業融資制度であれば、申し込みから融資実行までにかかる期間は1ヶ月程度です。飲食店営業許可が下りる前に、厨房機器の購入や内装工事の費用に当てることができるため、飲食店の開業には有利に働くでしょう。
新創業融資制度のように、新規開業する人向けの融資として、自治体が行う制度融資というものがあります。これは、自治体・信用保証協会・金融機関(銀行など)の三者協調によって、中小企業が金融機関から融資を受けやすくするための仕組みです。
この制度融資は、日本政策金融公庫とは違い、自治体・信用保証協会・金融機関のそれぞれが審査を行うため、時間がかかるというデメリットがあります。融資実行までに2ヶ月程度は必要になってしまいますので、これから事業を営もうという方には機会損失だともいえるでしょう。ゆえに、スピーディーに事業展開を行いたいのであれば、新創業融資制度を活用することが望ましいでしょう。
◆自己資金割合が低めに設定されている
新創業融資制度では、自己資金割合が低めに設定されているという点もメリットの一つです。一般的に、事業融資を受ける際には自己資金が一定の割合を満たしている必要があります。
自己資金割合の計算方法は「自己資金÷創業資金=自己資金割合」となります。
通常の融資では、創業資金に対して、2分の1程度の自己資金割合が求められます。一方、新創業融資制度の場合は、創業資金の10分の1程度の自己資金割合であれば要件を満たすことになります。
つまり、自己資金が少ない場合に、新創業融資制度を検討してみるのは有効な手段だといえますし、自己資金が少なくても、新創業融資制度を活用すれば飲食店を開業することは十分に可能だということです。
ただし、10分の1程度の自己資金というのは、あくまで要件を満たすための基準であるということですので、この点には注意が必要です。希望する融資額における自己資金の割合は3割程度用意することが望ましいでしょう。事業を営む上で、急な支出を伴うことも多くあります。自己資金と借入金のバランスを考えた資金計画を立てることが重要になってきます。
◆制度融資よりも金利が少し高めとなっている
新創業融資制度は、そもそも低金利での貸付を行なってはいますが、制度融資と比べると金利は高くなる傾向にあります。
制度融資は、自治体が利子の一部を負担する「利子補給」という補助を行うことにより、金利を低く抑えることが可能なのです。ただし、制度融資には、都道府県で実施されているものと、市区町村で実施されているものに分かれており、利子補給の割合も地域によって様々です。したがって、新創業融資制度は、自治体が行う制度融資と比べると金利が高くなる場合が多く、この点はデメリットといえるでしょう。
新創業融資には先に述べた通り、無担保・無保証であり、必要な自己資金割合の低さや、審査スピードの速さなど、それを補う様々なメリットが魅力です。
また、あくまで制度融資と比べると高いというだけで、新創業融資制度の金利はもともと低水準なため、一般的な事業融資と比べれば金利は十分に低いといえるのです。
◆新創業融資制度を申し込むための手順
必要書類は、借入申込書・創業計画書・通帳のコピー・法人の登記簿謄本・本人確認書類などが必要になります。資金繰り表や不動産の賃貸契約書なども必要に応じて提出が求められます。必要書類は日本政策金融公庫の公式ホームページからダウンロードが可能です。
電話での融資における相談も可能ですので、不明点や疑問点、必要書類の確認などを行うといいでしょう。
また、事業を営む所在地にある日本政策金融公庫支店窓口に出向いて、不明点や疑問点を尋ねることはもちろんのこと、申し込みに必要な書類を確認することもできます。直接出向いた場合、創業に関する資料をもらうこともできますし、創業計画書の作成方法などもわかりやすく説明してもらえます。なお、創業計画書を作成済みの場合は、持参することで、より具体的な相談が可能になります。
創業系計画書は、いわば将来の設計図のようなものです。企業の強みや他社との差別化戦略などを明確に記述し、将来性を示さなければなりません。自己資金の出所を明確にすることや、当然、信用情報も健全な状態が求められます。加えて、創業者自身の事業経験、ご自身が持っているビジョン、創業する会社の知識など、事業に関するあらゆることを頭に入れておかなければなりません。
必要書類は郵送することもできますし、支店窓口での受付も可能です。必要書類を提出すると、それをもとに面談が行われます。面談では、創業の理由やサービスの内容、収支計画の実現性などを聞かれます。
創業計画書に記載した内容が頭にしっかりと入っていれば対応できるでしょう。事業に関する知識を完璧に把握し、具体性をもって説明する必要があるのはもちろんですが、事業に対する熱い気持ちを伝えることも非常に重要になってきます。
面談後に事務所や店舗の現地調査が実施されます。面談が終了してから1週間程度で審査結果が通知されます。
自己資金が乏しいなどの理由から、希望した金額を満額借りることができない場合もあります。その場合は、減額された形での融資を受けることになります。
日本政策金融公庫の指示に従って手続きをすることで、融資が実行されます。不明な点があれば積極的に尋ねるようにしましょう。
◆飲食店の開業には新創業融資制度を活用してみる
新創業融資制度は、無担保・無保証・低金利の資金の貸付を行なっており、自己資金割合が少ない場合でも融資を受けられる可能性があるため、起業される方にとってメリットが非常に多い制度です。
飲食店を開業する際には、新創業融資制度を利用して融資を受けることも視野に入れて、検討してみることが大切です。
また、越智税務会計事務所は、創業時の融資サポートを無料で提供しています。外部専門家のサポートを取り入れることで、企業までの道のりがより円滑に進みますので、選択肢の一つとして検討してみてください。
起業するにあたってすべきことは資金調達だけではありません。何から始めていいのかわからない場合など、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
【参考URL】
【1段落】https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
【2段落】なし
【3段落】https://www.jfc.go.jp/n/faq/sk_question_c.html
【4段落】なし
【5段落】https://www.jfc.go.jp/n/faq/index.html
【6段落】http://ochi-kaikei.com/dining/dining_opening/