金融公庫審査をクリアするためのコツと注意点
融資を申し込む際には、審査に備えて準備を整えておくのが基本です。日本政策金融公庫を利用する場合も、やはり事前準備が必要になってきます。今回は、審査の担当者がチェックするポイントや、審査の前に心がけておくべき点などをご紹介していきましょう。
◆認定経営革新等支援機関の利用がカギ
金融公庫審査をスムーズにクリアしたい場合、認定経営革新等支援機関を利用するのがカギです。申し込みをする際には担当者のお眼鏡に適うような事業計画書や添付書類を用意しておく必要がありますので、専門家のサポートを得るのも合理的な方法と言えます。認定経営革新等支援機関は、国が認定した専門機関です。全国の税理士事務所や会計事務所、弁護士事務所などが認定を受けており、中小企業や小規模事業者の支援を行っています。実のところ、ほとんどの事務所が認定の対象になっていますので、会社の顧問として税理士や公認会計士をつけているのであれば、同じ事務所に金融公庫審査の相談もできるかもしれません。実際、2017年8月現在では、2万6千ほどの機関が認定経営革新等支援機関として認定されているため、相談先を見つけるにあたってもさほど手こずることはないでしょう。この支援機関では、創業支援や事業計画書の作成支援などを行っており、経営全般に関するアドバイスを受けることができます。日本政策金融公庫に融資を申し込むときにも、このような認定機関に事前に相談をしておくと、いろいろなアドバイスが得られます。どの専門家に相談するのがよいかは、開業しようとする業種によって変わります。たとえば、飲食店を開業するのであれば、飲食業界の実情に明るい税理士や公認会計士に相談するのがベストです。
◆厨房設備などの費用にあてられる!融資実行までの期間
日本政策金融公庫の融資に申し込みをした場合、融資が行われるまでの期間は大体1カ月程度です。申し込みの際に最初に行うのが、日本政策金融公庫の窓口での手続きです。ちなみに申し込みの時には、借入申込書や創業計画書などの必要書類を提出する必要があります。日本政策金融公庫では、融資をするにあたって面談を行っていますので、書類の内容だけですぐに審査の結果がでるわけではありません。面談の時には経営者が提出した書類について自ら説明を行い、担当者にアピールをすることが必要です。審査は、提出した書類と面談の内容を基に行われることになっており、面談で担当者に良い印象を与えられれば融資を受けられる可能性も少なからずアップするでしょう。審査の結果は、後日に郵送で通知され、融資が受けられるかどうかが知らされます。運よく審査に通れば程なくして資金が振り込まれますので、早々に設備の購入などに着手できます。日本政策金融公庫の融資は、申し込みから融資が行われるまでの期間が短いうえに、制度融資のように営業許可証などを提出する必要がありません。開業する前でも、融資を受けたらすぐに厨房設備の導入や内装工事ができるのが日本政策金融公庫のメリットです。自治体が行っている制度融資などは、融資が行われるまで2カ月程度はかかります。保健所から「飲食店営業許可」が下りることが融資の条件になっている場合が多く、開業前に厨房設備の購入費用や内装工事の費用に資金をあてることは難しくなります。したがって、飲食店の開業資金には不向きです。このような事情から、飲食店を開業するのであれば、日本政策金融公庫から融資を受けるほうが良いと言えます。
◆審査担当者がチェックしているポイント
金融公庫審査では、担当者がいくつかのポイントをチェックします。こういった審査で一番重視される点は、事業の見通しです。客観的にその事業の状況を見たときに、経営者が売上や収益について具体的な根拠を示せているかどうかが、1つのチェックポイントです。例えば、飲食店の開業であれば、客数や客単価、回転率などの予測を、根拠を持った数字で示すことが大切になるでしょう。競合店などの調査資料を基に、できるかぎり説得力を持たせた数字を事業計画書に盛り込み、担当者を納得させる必要があります。金融公庫審査では、取扱い商品やサービスの内容も重要視しています。特に大きなポイントになるのが、競合他社と比べたときにどのような点が優れているかといった点です。説明を求められたときに返答に困らないよう、必要に応じて補足資料を用意しておくと安心です。申し込みをする経営者の資金面についても、チェックされています。例えば、自己資金と運転資金は重要になるポイントです。日本政策金融公庫の創業融資では、経営者を連帯保証人にはしていません。ただ、自己資金をある程度持っていることが融資の条件です。自己資金を経営者自身が用意しているということは、融資を受けるにあたってのリスクを経営者が背負う覚悟を示すことになります。したがって、自己資金をしっかりと用意していれば、連帯保証人にならなくても真剣な姿勢をアピールできるわけです。また、事業に必要なコストを、経営者自身がはっきりと認識しているかを判断するためにチェックされるのが、事業計画書に記載した運転資金です。詳細な内訳が書かれていれば、細かい点まで経営者本人が理解していると判断できます。しかしながら、どんなに優れた計画書を作ったとしても、実際に経営を行うのは経営者という人です。実のところ、日本政策金融公庫の審査では、経営者自身の資質が問われていると言えるでしょう。
◆事前相談を行うことで融資の可能性が高まる
審査に通過する可能性をアップするには、申し込みをする前に日本政策金融公庫に相談をしておくのがコツです。全国にある日本政策金融公庫の支店では、融資の申し込みを考えている方を対象に創業計画書の事前相談を受け付けています。事前相談では創業計画書の書き方も教えてもらえますので、融資の審査に通る可能性がグンとアップします。例えば、飲食店を開業する場合には、その旨を担当者に伝えることによって具体的なアドバイスをもらうことが可能です。ただ、こういった支店の窓口で事前相談をする場合には、多くの相談者が来店するという点を考慮しておいたほうがよいでしょう。事前予約なして窓口を訪れた場合には、1人あたり20分程度の相談時間しか確保できないケースが少なくありません。ゆっくりと相談をしたい場合は、事業資金相談ダイヤル「創業ホットライン」に連絡をして、予約をしてから窓口に出向くのが良い方法です。このホットラインで事前に相談の日時を予約しておけば、1人あたり1時間程度の時間は確保できます。
◆経営者の経営能力を示す必要がある
融資の審査結果を左右する重要ポイントは、実のところ「経営者の経営能力」です。明確なビジョンを持ち、今後の見通しがしっかりと立っている経営者であれば、金融公庫審査もスムーズに通過する可能性があります。これまでの間に何らかの実績を上げている経営者は、さらに信用がアップするでしょう。ただ、これから創業する場合、ほとんどの方は実績が全くない状態です。そのため、審査の担当者が経営者の能力を判断するにあたっても、いろいろな面から検討する必要がでてくるわけです。例えば、経営者自身の過去の経歴や創業計画書の内容は、金融公庫審査でも重視されるポイントです。また、人柄や事業に対する覚悟なども、審査の際の判断材料になります。窓口で相談をするなどの方法で、事前準備をしっかりと行っておけば、その都度創業計画書に関するアドバイスが受けられるでしょう。金融公庫審査では、創業計画書の内容が重要視される傾向があり、充実した内容の計画書を提出すれば融資を受けられる可能性は現実的に高くなります。
◆審査担当者の立場になって準備を整えることが重要
審査で担当者が重視しているポイントを踏まえて準備をすることは、良い結果を得るうえでも大切です。経営者の経営能力や資金、創業計画書に記載した内容、といった審査でチェックされているポイントをつかめば、事前の準備も着々と進められるでしょう。創業計画書を準備する際には、日本政策金融公庫の窓口はもちろんですが、越智税務会計事務所などの税理士事務所にも相談ができます。こちらの事務所では、創業時のサポートを無料で行っており、飲食店の経営を始める方にとっても心強いサービスになります。さまざまな方法で準備を整えていくことで、万全の態勢が築けるでしょう。
[参考URL]
【1段落】http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/
【3段落】
https://www.jfc.go.jp/
https://起業.biz/now/koko_shikin/#i-19
【4段落】
https://www.jfc.go.jp/